下眼瞼の経結膜脱脂は「完成形」ではないこともある

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― 脂肪注入を後から行う意義 ―

下眼瞼の経結膜脱脂(いわゆる切らないクマ取り)は、
・皮膚を切開しない
・ダウンタイムが比較的短い
・眼窩脂肪の突出を直接改善できる

といった点から、古くから用いられている非常に優れた治療法の一つといっても過言ではないでしょう。
実際、多くの患者様において「目の下の膨らみが取れた」「疲れて見えなくなった」といった満足度の高い結果が得られます。

しかしここ数年で「クマ治療」に対する潮目は大きくかわり、
この治療は「裏ハムラ」という術式にとって代わられる機会が多くなりました。

現に私で言えばここ一年間に数百件以上はクマ治療をしているわけですが、
おぼえている限り脱脂は1例だけです。

なぜそのようなことになったか、というと
美容外科界としての下眼瞼の解剖への向き合い方・視点
ならびに
経結膜脱脂だけでは理想的な仕上がりにならない症例が一定数存在することが、臨床の現場でよくわかってきたのです。


経結膜脱脂だけでは物足りなくなる理由

経結膜脱脂は「余分な脂肪を減らす治療」です。
しかし、目の下の老化やクマの原因は脂肪の突出だけではありません

以下のような要素が関与している場合、脱脂単独では限界があります。

  • 脂肪を取ったことでソゲ感(ティアトラフ)が目立つ
  • 時間の経過とともに小じわが増えたように感じる
  • 皮膚のハリ・コシが乏しく、疲れた印象が残る
  • 若い頃よりも眼窩周囲のボリューム自体が減少している

特に、30代後半以降や、もともと皮膚が薄い方では、
「膨らみは改善したが、若々しさが足りない」
という評価につながることがあります。


後から行う脂肪注入という選択肢

そのようなケースで有効なのが、下眼瞼への脂肪注入です。

脂肪注入は単なる「ボリューム補充」ではありません。

脂肪注入で期待できる改善点

  • ソゲ・段差のなだらかな修正
  • 小じわの目立ちにくさ
  • 皮膚のハリ・質感の改善
  • 目元全体の若返り印象

特に、微細に注入することで、皮膚の質感そのものが改善するケースも多く見られます。

例えばこんな感じ↓とか。


「同時」ではなく「後から」行う意味

脱脂と脂肪注入を同時に行う術式もありますが、
あえて段階的に行うことには明確なメリットがあります。

  • 脱脂後の完成形を見てから、必要な量・部位を判断できる
  • 過剰なボリュームによる不自然さを避けられる
  • 長期経過を見据えた微調整が可能

つまり、
経結膜脱脂でマイナスを整え、脂肪注入でプラスを補う
という考え方です。

逆に同時で行うメリットは
・痛みやダウンタイムが一回で済む。
・麻酔代などが二回かからないで済む
くらいでしょうか。


まとめ:経結膜脱脂は「通過点」であることも

下眼瞼の経結膜脱脂は、決して悪い治療ではありません。
しかし、すべての症例において「それだけで完成する治療」でもありません。

  • 脱脂後に物足りなさを感じた
  • 時間が経ってから小じわやソゲが気になってきた

このような場合、脂肪注入を追加することで解決できる可能性があります。

目元は顔全体の印象を大きく左右する部位です。
一度の治療で終わらせるのではなく、経過に応じて最適な選択を重ねていくことが、満足度の高い結果につながります。

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