こんにちは。統括院長の横山です。
今日は、意外と多くの方が気になっている
“赤ら顔”や“酒さ(しゅさ)”と、保険診療・自由診療の境界について、
20~50代の美容に関心のある女性・男性、
また美容医療に関わる医師・看護師の皆さまにも分かりやすくご説明したいと思います。
名古屋市中区栄・安城市を中心に、全国からご来院いただく当院(あいち栄クリニック)でも、よくご相談をいただくテーマです。
「赤ら顔が気になるけど、これは“病気”なの?保険が使えるの?」
「美容目的だと自費になるって聞いたけどどういうこと?」
といった疑問に対して、医師の視点から整理してお伝えします。
■ 酒さ・赤ら顔とは何か
まず、基礎知識を整理します。
・酒さとは
酒さ(Rosacea)は、主に顔(頬・鼻・額・あご)に赤み(紅斑)が出たり、
毛細血管が拡張して“ぼんやり赤く見える”状態(Ⅰ度酒さ)、
または赤い丘疹(ぶつぶつ)・膿疱を伴うこと(Ⅱ度酒さ)がある慢性の皮膚疾患です。
典型的には20~50代の成人、特に女性に比較的多く見られます。
症状例としては、
「顔が赤くなりやすい」
「血管が浮いて見える」
「ホットフラッシュのようにほてる・ヒリヒリする」
などがあります。 
・赤ら顔(毛細血管拡張症を含む)との関係
「赤ら顔」という言葉は、酒さを含む「顔が赤く見える」状態全般を指すことがあります。
特に、毛細血管が拡張していることで「頬・鼻・顔面が赤い・血管が浮いて見える」状態を、
毛細血管拡張症として扱うこともあります。
重要なポイントとして、毛細血管拡張症としての「赤ら顔」は、保険適用のレーザー治療が認められる場合がある一方で
、酒さとしての赤ら顔・ぶつぶつなどを伴う場合は「美容目的・自由診療」の範囲となることが多いということです(以下で詳述します)。
■ 保険適用か自由診療か ― その境界とは?
美容医療クリニックにおいて、患者さまから最も多く質問を受けるテーマがこちらです。
「この赤み、保険で治療できるの?それとも自費なの?」
というもの。
皮膚科専門医の立場から、私なりに整理しておきます。
◎ 保険診療が可能となる条件
保険診療(保険適用)が可能となるケースの典型としては、以下のような例があります。
- 単純性血管腫(良性血管腫)・乳児血管腫・毛細血管拡張症など、明確に「血管病変」「医学的治療が必要」と判断されるもの。
 - 酒さの外用薬(例えば ロゼックスゲル=メトロニダゾール0.75%など)
 
◎ 自由診療(自費診療)となる典型的なケース
一方で、保険適用にならない、つまり自由診療として扱われることが多いのはこちらです。
- 血管拡張があるけれども、診断が「酒さ(赤ら顔)」とされ、かつ「美容目的・赤み軽減・肌質改善」が主な目的となる治療。例えば、赤ら顔のためのレーザー(例えば VビームレーザーⅡ、595 nm色素レーザー)で“酒さ・赤ら顔”を目的に使う場合、保険適用外とされることが多いです。
 - 美容的な範囲での“赤ら顔改善・肌質改善・小じわ・くすみ”などを目的としたレーザーやフォトフェイシャル。これらは保険適用にならないことが多いです。
 
◎ なぜこのような区別があるのか
この区別は、医療保険制度の趣旨によるものです。
「病気や障害に対する医療的必要性があるかどうか」
「どこまでが美容的目的か」という判断が、保険適用を左右します。
つまり、赤みそのものが“機能的に改善が必要な皮膚疾患”として診断されるか、
それとも“美容的・見た目の改善目的”として扱われるかによって、適用/非適用が変わってきます。
そのため、患者さま自身が「赤ら顔だから保険で…」と思われていても、
実際には「美容目的」と判断され、自由診療となるケースも少なくありません。
当院でもカウンセリング時にその説明を丁寧に行っております。
■ 当院における対応の流れ(名古屋・栄)
当院「あいち栄クリニック」では、名古屋市中区栄・安城市を中心に、全国からのご来院も対応しております。
酒さ・赤ら顔のお悩みに対して、医師(私を含む)が以下のような流れで診察・治療を行っています。
① 診察・問診
初回は皮膚科専門医による診察です。症状の出ている部位(頬・鼻・額など)、
赤みの程度、ぶつぶつ(丘疹・膿疱)があるか、ほてりやヒリヒリ感があるか、目の症状(眼型酒さ)などを確認します。
また、過去のスキンケア、生活習慣(飲酒・飲食・発汗・日光・サウナなど)、
刺激の有無(熱い飲み物・辛い食事・メイク摩擦)も聞き取りして、悪化因子を探ります。
② 医学的必要性の検討・保険適用の可否判断
診察後、医師が「これは酒さか?それとも単純な毛細血管拡張症か?」「治療として医学的な必要性があるか?」を判断します。
例えば:
- 血管の明らかな拡張(血管が浮いて見える)+症状(赤み・ほてり)で「毛細血管拡張症」と判断されれば、保険適用のレーザーや治療が可能な場合があります。
 - 赤み+ぶつぶつ・膿疱・慢性の炎症反応がある場合、「酒さ」として継続治療が必要と判断され、標準的な外用薬(ロゼックス等)で保険適用となる可能性があります。
 - ただし、レーザーなど「美容目的で赤みを早く引かせたい」「肌質も一緒に整えたい」という場合は、自費治療(自由診療)になることが多く、治療前にその旨をご説明しています。
 
③ 治療プランのご提案
保険適用が可能な部分と、自由診療を併用する選択肢を含めてご提案します。例として以下のようなプランがあります。
- 保険適用外用薬・内服薬で赤み・炎症をコントロール
 - 日常生活・スキンケア指導(刺激回避、紫外線対策、熱・汗・飲酒制限など)
 - 必要に応じてレーザー(自由診療)併用:赤み血管をターゲットにした色素レーザーやフォトフェイシャルなど
 - 定期フォロー:症状の改善・再発防止のために継続的な管理を行います。酒さは“完治”よりも“コントロール”が現実的な目標です。 hibikinohifuka.com+1
 
④ 治療開始・フォロー
治療を開始したら、数週間~数か月かけて徐々に改善を目指します。赤みが落ち着いたら、症状が再燃しないよう生活習慣・スキンケアを継続していただきます。「急に治る」わけではないので、継続的ケアが鍵となります。
また、治療中・治療後にはダウンタイム・副作用(外用薬の刺激感・レーザー後の紫斑など)についても丁寧に説明いたします。 〖池袋の皮膚科〗池袋駅前のだ皮膚科|池袋駅すぐ|夜間・土日診療
■ 保険診療でご留意いただきたいポイント
保険診療を前提とする場合、以下のようなポイントがありますので、あらかじめご理解ください。
- 保険適用となるかどうかは「診断名」「症状の程度」「治療の目的」が重要です。医師が“病的状態である”と判断できなければ、保険が使えないことがあります。
 - 例えば、レーザー治療で保険が適用されるのは「単純性血管腫」「乳児血管腫」「毛細血管拡張症」などに対してのみ、という情報があります。酒さ・赤ら顔としてのレーザー治療は保険適用外となるケースが多いという報告もあります。
 - 保険診療の場合、治療回数・頻度・照射範囲などに制限がある場合があります。例えばレーザー治療で保険適用時は3ヶ月(と1日)に1回というペースが示されているケースもあります。
 - 保険診療であっても、 赤みが軽く“一時的に気になる”レベルの場合は、“美容目的”とされ自由診療扱いになることもあります。つまり「どこまでを医療的必要性とみなすか」によって変わるという点はご理解ください。
 - 保険適用を前提にされる場合でも、治療の開始時に「保険適用となる可能性」「自由診療になる可能性」について説明を受け、了承することが大切です。
 
■ 日常生活・セルフケアでできること
治療と並行して、日常生活で気を付けていただきたいポイントをご紹介します。酒さ・赤ら顔は生活環境・刺激・習慣とも深く関係しています。
- 紫外線対策:日焼け止め・帽子・日傘を使う。赤みを悪化させる要因となります。
 - 過度な入浴・サウナ・運動後の大量発汗:熱や血流変化が赤みを誘発するため、ぬるめの温度を心掛けましょう。
 - 飲酒・辛い食事・熱い飲み物:顔の血管が拡張し、赤みを強めることがあります。
 - スキンケア時の摩擦・刺激:洗顔やメイク落とし時に強くこすらない、刺激の少ない製品を使うなど。
 - ストレス・睡眠不足:体が過剰反応を起こし、赤み・ほてりを誘発することがあります。
 - 保湿ケア:肌のバリアを整えることで、外部刺激からのダメージを軽減できます。
 
これらは治療効果を高め、再発・悪化を防ぐ上でも非常に重要です。
■ まとめ
「赤ら顔・酒さ」の治療では、症状の実態を正しく診断し、「保険適用が可能か/自由診療になるか」を医師とよく相談することが第一歩となります。
名古屋市中区栄・安城市で全国からご来院いただいている当院でも、初診時にはこのあたりを丁寧にご説明しております。
特に「見た目」のお悩みとしての赤ら顔は“美容目的”との位置付けになりがちですが、
実際には慢性の炎症疾患としての側面もありますので、「放っておいても大丈夫」というわけではありません。
早めに専門医に相談して、生活習慣を整えながら適切な治療を始めることが、
結果的に症状の進行を防ぎ、治療期間・治療費用の面でも良い結果につながることが多いです。
当院の過去のブログ記事でも、赤ら顔・酒さの治療や日常ケアについて詳しくご紹介しています。
ご不明な点や「自分の場合はどうか?」という具体的なご相談があれば、いつでもクリニックにお越しください。皆さまの「赤ら顔・酒さ」改善のお手伝いができれば嬉しいです。
横山でした。





