近年、保険診療だけでなく、美容医療クリニックでもオンライン診療を導入するところが増えてきました。
忙しい方や遠方の方にとって「通院せずに診察〜処方までできる」という利便性はとても魅力的ですよね。
(実は当院も機能していないけど、システム自体はある。)
今回は、オンライン診療のメリット・デメリットを、
美容医療・処方薬の安全性という観点から、
特に「定期的な検査ができない」という点を中心にお伝えします。
■ オンライン診療のメリット
● 通院負担が減る
仕事中・育児中でもスマホやPCで簡単に診療可能です。
例えば当院の所在する栄・名古屋市近郊、三河・安城市近郊だけでなく、全国から利用できるのはオンライン診療ならではの利点です。
● 待ち時間・移動時間が不要
待合室で長時間過ごす必要がありません。忙しい方にとっては大きな時間節約になります。
● 初診・再診のハードルが低い
「ちょっと相談したい」「薬の調整だけしたい」という日常的なフォローは、オンラインでも十分対応可能です。
● 通院心理的負担の軽減
対面が苦手、初めての診療に緊張する…という方にとって、慣れた環境で話せるのは大きなメリットです。
■ オンライン診療のデメリット
魅力あるオンライン診療ですが、特に検査ができない点には注意が必要です。
対面診療では、触診・視診・血液検査・血圧測定などを組み合わせて判断しますが、
オンラインではこれが一切できません。
なかでも注意したいのは、薬剤トラブルの「早期発見が難しい」ことです。
例えば以下のようなケースです:
● 多くの飲み薬は肝臓・腎臓で代謝・排泄されます。
これら臓器の負担が強く出ていないか、定期的な血液検査でチェックすることが安全な薬物療法には不可欠です。
→例えば当院でもイソトレチノインをオンラインで処方を受け
自己判断で内服した後、当院が把握し検査すると肝機能障害がでていた。
・・・といった怖い事例も経験しています。
● 皮膚や粘膜の変化、むくみ、発疹などの軽微な身体所見は、
実際に対面で触れたり直接診たりすることで初めて発見できることがあります。
オンラインの画質でどこまで画面の向こうの先生が把握できているか不明ですよね。
(しかも皮膚科専門医じゃなかったりする)
● 血圧や脈拍、体重変動などは、
患者さん自身で測定しても測定機器や方法によってばらつきが出ます。標準化された環境で測ることで初めて正確な状態が分かります。
■ なぜ「定期検査が大切」なのか
美容医療で処方される薬剤の多くは、患者さんの自己申告だけではリスクを完全に把握しきれないことがあります。
例えば、初診時には問題なかった肝機能や腎機能が、薬物負荷で徐々に変化することもあるからです。
オンライン診療中に
「なんとなく疲れやすい気がする」
「肌荒れがひどくなった気がする」
「むくみが出てきた」
といった症状があっても、数値として客観的に評価できなければ、医師側としても「薬の副作用なのか、別の要因なのか」を判別することが非常に難しいです。
これが対面診療であれば、血液検査データや血圧測定・視触診などを行い、
数値・所見として評価できるため、トラブルの早期発見・早期対応につながります。
■ オンライン診療で安全性を確保するには
だからこそ、オンライン診療を安全に利用するには以下のポイントが重要です:
✔ 対面診療でのベースライン評価(基準値測定)をしっかり行う(初診は必ず対面。基礎データを取る。)
✔ 薬剤の性質に応じて、定期検査の間隔を決める
✔ 検査値を用いたフォローアップ計画を立てる
✔ 患者さん自身でも自覚症状の変化に敏感になる習慣を持つ
たとえば、肌の状態・むくみ・だるさ・食欲不振・尿量の変化など日々の変化をメモしておくことは、
オンライン診療でも非常に役立ちます。
■ 対面診療とオンライン診療、両方の良さを生かして
オンライン診療は優れたツールですが、
「すべてがオンラインで完結すれば安心」というわけではありません。
特に薬剤を用いる治療では、定期的な検査と医師の直接評価がリスク管理において不可欠です。
ですので当院は基本「対面診察」だと思っていますし、
どうしても・・・以外にオンラインを使わないスタンスでいます。
安物買いの銭失い。
先人から受け継いだ大事な教訓です。
ここで失う銭は貴方の健康・安全です。
すごく高い代償にならないよう、今一度貴方にとって何が大事か
考えていただけるとよいかと思います。





